在留資格とは何か
在留資格とは、外国人が日本に在留し一定の活動を行うこと、または一定の身分・地位に基づいて在留することを認める法的な資格である。出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められており、日本に中長期在留するすべての外国人はいずれかの在留資格を持っている。
在留資格は大きく2種類に分けられる。
【活動に基づく在留資格】特定の活動(就労・留学など)を行うことを認めるもの。活動の範囲が指定されており、許可された範囲外の活動は原則としてできない。
【身分・地位に基づく在留資格】日本人の配偶者、永住者など、身分や地位に基づいて在留を認めるもの。活動に制限がなく、どのような仕事にも就くことができる。
2026年4月現在、在留資格は全29種類が法定されている。
ビザ(査証)との違い
「ビザ」と「在留資格」は日常的に混同されるが、法的には別の概念である。
【ビザ(査証)】在外日本大使館・総領事館が発給する。パスポートに貼付され、「この外国人の入国は適当である」という推薦の意味を持つ。入国審査の前提条件であり、入国後は役割を終える。
【在留資格】入国審査の結果として付与される。日本に滞在している間、どのような活動ができるか・どのくらいの期間滞在できるかを定める。在留中の法的地位そのものである。
つまり、ビザは「入国の鍵」、在留資格は「滞在のルール」にあたる。在留期間の更新や在留資格の変更は出入国在留管理局(入管)に申請するが、ビザの再取得は不要である(出国して再入国する場合を除く)。
ビザ免除の短期滞在(観光等)の場合は、ビザなしで入国審査を受けて在留資格「短期滞在」が付与される。
就労制限による3分類
29種類の在留資格は、就労の可否によって以下の3つに分類される。
【1. 就労制限なし(居住資格 4種)】
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の4種類。身分・地位に基づく在留資格であり、職種や業種を問わずどのような仕事にも就くことができる。
【2. 就労可・活動制限あり(19種)】
外交・公用・教授・芸術・宗教・報道・高度専門職・経営管理・法律会計業務・医療・研究・教育・技術人文知識国際業務・企業内転勤・介護・興行・技能・特定技能・技能実習の19種類。それぞれの在留資格で認められた範囲内の活動に限り就労できる。
【3. 就労不可(5種)】
文化活動・短期滞在・留学・研修・家族滞在の5種類。原則として就労は認められない。ただし「留学」「家族滞在」は資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)のアルバイトが可能である。
なお「特定活動」はワーキングホリデー・EPA看護師候補など多様な活動を含み、個別の指定内容によって就労の可否が異なる。
居住資格(就労制限なし)4種
身分・地位に基づく在留資格は活動に制限がなく、日本人と同様にあらゆる職種で就労できる。
・永住者:法務大臣から永住許可を受けた者。在留期間の制限がなく、在留資格の変更・更新手続きも不要。取得要件は原則10年以上の在留(高度人材は最短1年)
・日本人の配偶者等:日本人の配偶者、日本人の実子、特別養子。離婚・死別後は在留資格の変更が必要
・永住者の配偶者等:永住者・特別永住者の配偶者、日本で出生した子
・定住者:法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認めた者。日系人(日系3世まで)、難民認定者、中国残留邦人等が該当する。在留期間はあるが活動制限はない
就労可能な在留資格(活動制限あり)19種
許可された活動の範囲内で就労が認められる。主な在留資格の概要は以下のとおり。
・外交:外国政府の大使・公使等およびその家族
・公用:外国政府等の公務に従事する者
・教授:大学・高等専門学校等での研究・研究指導・教育活動
・芸術:収入を伴う音楽・美術・文学等の芸術活動
・宗教:外国の宗教団体から派遣された宗教家
・報道:外国の報道機関の記者・カメラマン
・高度専門職(1号・2号):ポイント制で認定された高度人材。2号は在留期間無期限
・経営・管理:事業の経営または管理に従事する活動
・法律・会計業務:弁護士・公認会計士・税理士等
・医療:医師・歯科医師・看護師等の医療従事者
・研究:公私の機関における研究活動
・教育:小中高等学校等での語学教育等
・技術・人文知識・国際業務:理工系技術者・人文系専門職・通訳翻訳等。就労系在留資格で最も取得者が多い
・企業内転勤:外国の事業所から日本の事業所への転勤
・介護:介護福祉士の資格を持つ者による介護業務
・興行:演劇・演芸・スポーツ等の興行活動
・技能:外国料理の調理師・スポーツ指導者・宝石加工等の熟練技能者
・特定技能(1号・2号):特定産業分野での即戦力人材。2019年創設。1号は19分野(2026年1月時点)
・技能実習:2027年4月に廃止され、育成就労制度に移行予定
就労不可の在留資格(5種)と資格外活動許可
原則として就労が認められない5種類の在留資格がある。
・文化活動:収入を伴わない学術・芸術活動、日本文化の研究
・短期滞在:観光・商用・親族訪問等(在留期間90日・30日・15日)。資格外活動許可の対象外
・留学:大学・専門学校・日本語学校等での教育活動
・研修:公私の機関での技能等の習得活動(実務研修を含まないもの)
・家族滞在:就労系在留資格等を持つ外国人の扶養を受ける配偶者・子
「留学」と「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、出入国在留管理局で資格外活動許可を取得すれば、一定の範囲でアルバイトができる。上限は原則週28時間。留学生は学校の長期休暇中に限り1日8時間まで認められる。風俗営業等への従事は許可されない。
資格外活動許可の範囲を超えた就労や、許可を得ずに就労した場合は不法就労となる。
在留カードとの関係
中長期在留者(在留期間が3か月を超える外国人)には在留カードが交付される。在留カードには氏名・国籍・在留資格・在留期間・就労制限の有無などが記載されており、合法的に在留する外国人の身分証明書として機能する。
在留カードの携帯は法律上の義務であり(特別永住者を除く)、入管職員や警察官から提示を求められた場合は応じなければならない。
2026年6月14日からは「特定在留カード等」の運用が始まる。これは在留カードとマイナンバーカードを一体化した新カードで、取得は任意である。
雇用主が外国人を雇用する際は、在留カードを確認して就労可能な在留資格を持っているか・在留期間が有効かを確認する義務がある(雇用対策法、入管法)。
違反した場合のリスク
在留資格に関する違反は、外国人本人だけでなく雇用主にも重い制裁がある。
【外国人本人】
・不法就労(在留資格で認められない活動に従事):退去強制事由に該当。刑事罰の対象にもなりうる
・在留期間の超過(オーバーステイ):退去強制事由。自主的に出頭して帰国する場合は出国命令制度の適用がありうる
・虚偽申請:在留資格の取消し事由に該当
【雇用主・あっせん者】
・不法就労助長罪(入管法第73条の2):不法就労であることを知りながら、または在留資格を確認せずに外国人を雇用した場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科(2025年6月施行の刑法改正により「懲役」は「拘禁刑」に一本化)
・雇用状況届出義務違反:外国人の雇入れ・離職をハローワークに届け出なかった場合、30万円以下の罰金
自治体の窓口や支援機関では、在留資格に関する相談が増加している。雇用主向けには在留カードの確認方法と届出義務の周知が、外国人向けには資格外活動許可の手続き案内が実務上の重要ポイントとなっている。