制度の概要と創設経緯
特定技能制度は2019年4月に創設された在留資格制度である。深刻な人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ってもなお人材確保が困難な産業分野に限り、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる仕組みとして設計された。
在留資格は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2段階で構成される。1号は在留期間が通算5年上限で家族帯同は不可。2号は在留期間の更新に上限がなく、配偶者・子の帯同が認められ、条件を満たせば永住許可の申請も可能である。
制度創設時の対象は14分野であったが、2022年に製造業関連の3分野が統合され12分野となった。
2024年の制度拡大
2024年3月29日の閣議決定により、特定技能制度は大幅に拡大された。
【分野の追加】2024年3月に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が加わり計16分野となった。さらに2026年1月23日の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が追加され、対象は計19分野に拡大した。
【受入れ見込みの引き上げ】2026年1月の閣議決定では、2028年度末までの5年間の受入れ上限を特定技能1号で約80.6万人と設定した。育成就労(約42.6万人)と合わせると約123万人にのぼり、過去最大規模となる。
【業務区分の拡大】工業製品製造業に7業務区分が追加、飲食料品製造業にスーパーの惣菜製造が追加されるなど、受入れの幅が広がった。
これに先立ち、2023年6月の閣議決定で特定技能2号の対象が2分野(建設・造船)から大きく拡大された。ただし2号の対象は全分野ではない。令和8年4月時点では、介護(専門職資格「介護」で対応)に加え、2024年以降に追加された自動車運送業・鉄道・林業・木材産業・リネンサプライ・物流倉庫・資源循環を除く11分野が2号の対象である(これらの新規分野は当面1号のみ)。
特定技能1号 vs 2号
| 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年上限 | 更新上限なし |
| 家族帯同 | 不可 | 可(配偶者・子) |
| 永住申請 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
| 対象分野 | 19分野 | 11分野(介護・新規3分野等を除く) |
| 支援義務 | 受入企業または登録支援機関 | なし |
受入れ状況の現在地
2025年12月末時点の特定技能在留外国人数は390,296人(出入国在留管理庁, 2026年公表)であり、制度開始の翌年から6年連続で過去最多を更新した。2024年12月末の284,466人から約37%増えている。
分野別の上位5分野(2025年12月末時点)は以下のとおり。
・飲食料品製造業:95,644人(24.5%)
・介護:67,871人(17.4%)
・工業製品製造業:57,576人(14.8%)
・建設:51,122人(13.1%)
・外食業:44,925人(11.5%)
上位5分野で全体の約81%を占める。国籍別ではベトナムが最多だが、構成比率は低下傾向にあり、出身国の多様化が進んでいる。
制度運用の課題
【地域間の偏在】三大都市圏への集中が見られ、地方部では確保が難しい状況にある。生活環境・日本語教育体制・コミュニティの有無が地方定着に影響している。
【転職手続きの煩雑さ】同一分野内での転職は認められているが、在留資格変更手続きの複雑さや転職先の確保が課題となっている。
【2号移行の低調さ】2号の対象分野は2023年に11分野に拡大されたが、必要な技能試験の整備が分野によって異なり、実際の移行者数は限定的である。
【生活支援の質のばらつき】受入企業または登録支援機関による支援(事前ガイダンス・住居確保・日本語学習機会の提供等)が義務づけられているが、支援の質は均一ではない。
育成就労制度との関係
2027年4月施行の育成就労制度は、特定技能制度と密接に関連しています。育成就労は「特定技能1号に必要な水準の技能を育成する」ことを目的としており、3年間の育成就労を経て特定技能1号に移行するのが基本設計です。
これにより外国人のキャリアパスは「育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(更新上限なし)」という段階的な構造になります。技能実習制度の「帰国前提」から、日本での長期的なキャリア形成を視野に入れた制度体系への転換です。
育成就労の対象分野は特定技能の分野に合わせて設定される予定であり、両制度の整合性の確保が今後の運用上の重要課題です。最新の制度動向はナレッジベースで確認できます。