高度専門職とは:日本版のポイント制
高度専門職は、高度な専門性を持つ外国人材(高度外国人材)の受入れを促進するための在留資格である。学歴・職歴・年収などを点数化し、合計が一定点数に達した人に、通常の就労資格より緩和された優遇措置を与える「ポイント制」を採用している。
制度は2段階で整備された。まず2012年5月に「高度人材ポイント制」が出入国在留管理上の優遇措置として導入され、次いで2015年4月に在留資格「高度専門職」が新設された。
カナダやオーストラリアが移民選定に用いるポイント制と発想が近く、日本が「技能で選んで受け入れる」入口の仕組みを持っていることを示す制度である。ただし対象は高度人材に限られ、現場人材を受け入れる特定技能・育成就労とは目的も対象も異なる別のトラックである。
ポイント制の仕組み(3つの活動類型)
高度外国人材の活動は、3つの類型に分けてポイントが設計されている。
・高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」:研究・研究指導・教育
・高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」:自然科学・人文科学の知識や技術を要する業務
・高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」:事業の経営・管理
それぞれについて、学歴(博士・修士・大卒など)、職歴(実務年数)、年収、年齢、研究実績などの項目ごとにポイントが定められている。さらにボーナス加点として、日本語能力(N1・N2)、本邦の大学卒業、成長分野での就労、法務大臣が認める研究機関での就労などがある。
合計が70点以上に達すると「高度外国人材」として認定され、優遇措置を受けられる。「高度専門職2号」は、1号で3年以上活動した人を対象に、在留期間を無期限とし活動制限を大きく緩和した在留資格である。
高度専門職(ポイント制)と特別高度人材(J-Skip)
| 高度専門職(ポイント制) | 特別高度人材(J-Skip) |
|---|
| 認定方法 | ポイント70点以上(学歴・職歴・年収・年齢等を加点) | ポイント計算なし(学歴・職歴+高額年収で判定) |
| 年収の目安 | 配点項目の一つ(年齢帯別に加点) | 研究・技術系は2,000万円以上/経営・管理系は4,000万円以上 |
| 在留期間(1号) | 5年 | 5年 |
| 2号への移行 | 1号で3年以上 | 1号で1年以上 |
| 永住までの目安 | 70点で3年・80点で1年 | 1年 |
| 主な優遇 | 7つの優遇措置 | 7つ+プライオリティレーン等を拡充 |
高度人材への7つの優遇措置
高度専門職1号には、通常の就労資格にはない7つの優遇措置が用意されている。
1. 複合的な在留活動の許容(複数の在留資格にまたがる活動が可能)
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 配偶者の就労
5. 一定の条件下での親の帯同
6. 一定の条件下での家事使用人の雇用
7. 入国・在留手続の優先処理
特に永住許可は、通常は引き続き10年以上の在留が必要だが、高度人材は70点以上で3年、80点以上で1年に短縮される(2017年4月から)。日本での長期的なキャリア形成を後押しする設計である。
J-SkipとJ-Find(2023年4月の新制度)
高度人材の国際的な獲得競争に対応するため、2023年4月から2つの新制度が導入された。
【J-Skip(特別高度人材制度)】
ポイント計算を行わず、一定の学歴または職歴と高額年収(研究・技術系は2,000万円以上、経営・管理系は4,000万円以上)を満たせば「高度専門職」を付与する。「特別高度人材」として、従来の優遇措置に加え大規模空港のプライオリティレーン使用などが認められ、永住・2号移行までの期間もさらに短縮される。
【J-Find(未来創造人材制度)】
世界ランキング上位の海外大学を卒業(卒業後5年以内)し、一定の資金を持つ人に、在留資格「特定活動」(未来創造人材)を付与する。日本で就職活動・起業準備を行うため、最長2年間の在留が認められる。即戦力ではなく「将来有望な人材」を早い段階で呼び込む狙いである。
日本の制度上の位置づけと論点
高度専門職は、日本が「誰を受け入れるか」を技能で選別する入口の仕組みであり、カナダ・オーストラリアのポイント制に対応する日本側の制度として比較できる。
ただし注意したいのは、これが高度人材に限られた制度である点だ。人手不足分野の現場人材は特定技能・育成就労という別のトラックで受け入れており、両者は目的も要件も異なる。「日本は技能で選ぶ道具(高度専門職)は持つが、現場人材の受入れや、語学・社会知識の到達を在留・国籍に接続する統合の出口設計はこれからの段階」という非対称がある。
海外各国のポイント制・統合政策との比較は、海外政策インテリジェンスのページで確認できる。