外国人の子どもの就学の現状
日本に住む学齢相当(小・中学生相当)の外国人の子どもは、2025年5月時点で177,726人にのぼり、調査開始(2019年度)以来、過去最多を更新した(文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査」)。
内訳をみると、義務教育諸学校(公立・国立・私立の小中学校等)に在籍しているのは150,786人で全体の85.0%、外国人学校への在籍は11,949人で6.7%である。
外国籍の子どもは、日本国民と異なり就学が「義務」ではない。しかし、保護者が希望すれば公立の小中学校が無償で受け入れる運用となっており、国際人権規約等の趣旨からも教育機会の確保が求められている。
不就学の問題
就学状況が確認できない子どもの存在が、長年の課題となっている。
2025年5月時点で、不就学またはその可能性がある外国籍の子どもは9,153人と報告された(前年度より723人増)。内訳は、実際に不就学が確認された子どもが911人、教育委員会が家庭訪問・電話等で確認を試みても就学状況を把握できなかった子どもが8,013人、住民基本台帳上の人数との差が229人である。
把握できないケースの背景には、転居・出国、保護者が就学制度を知らない、言語の壁で学校とつながれない、などの事情がある。就学は義務でないため行政が強制できず、いかに就学を「案内」し家庭につなぐかが鍵となる。
このため、就学案内の多言語化、住民登録時の就学手続きの周知、教育委員会による就学状況の継続把握が各自治体で進められている。
日本語指導が必要な児童生徒
学校に通っていても、日本語の壁が学習の障害となる子どもが急増している。
2025年5月時点で、日本語指導が必要な児童生徒は公立小中高校等で84,759人となり、過去最多を更新した(文部科学省調査)。前回(2023年度)の69,123人から15,636人増え、約10年でほぼ倍増している。
内訳は外国籍が73,313人、日本国籍が11,446人。日本国籍でも、海外からの帰国や国際結婚家庭などで日本語指導を要する子どもが含まれる点が特徴である。在籍校は12,668校(公立校全体の約39%)に及び、母語も中国語・ポルトガル語・フィリピノ語・ベトナム語・ネパール語など多様化している。
深刻なのは、このうち約9,700人(約1割)が学校で必要な日本語指導を受けられていないことである。指導者・指導時間の不足が背景にある。
国の対応
国は制度面・体制面の整備を進めている。
【特別の教育課程】日本語指導が必要な児童生徒に対し、在籍学級とは別に日本語指導を行う「特別の教育課程」が制度化されている。個々の子どもに応じた「個別の指導計画」の作成も求められる。
【法的根拠】日本語教育の推進に関する法律(2019年)は、外国人の子ども等への日本語・教科指導の充実、教員等の配置、就学支援を国の施策として位置づけている。
【最近の動き】「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」で議論が重ねられ、2026年5月の会合で報告書の骨子案・議論の整理が示された。来日直後の子どもが日本語や学校生活の基礎を学ぶ初期指導(プレクラス等)の推進や、生成AIを活用した多言語の学習支援などが検討されており、文部科学省は指導のあり方に関する「日本語指導のガイドライン(仮称)」などの取りまとめを今年度中に行うことを目指している(検討中)。
進路保障と現場の課題
小中学校への就学だけでなく、その先の進路保障も重要な論点です。高校進学では、日本語の壁により受験で不利になりやすく、特別定員枠や受験時の配慮(ルビ振り・時間延長等)を設ける自治体が増えています。学齢を超えて来日した若者には、夜間中学が学び直しの場となっています。
学校現場では、日本語指導員・母語支援員の確保、教員の負担、保護者とのコミュニケーション、子どもの母語・アイデンティティの保持など、多くの課題が同時に存在します。
外国人の子どもの教育は、地域日本語教育・相談体制・多文化共生計画とも密接に関わります。POLARISでは関連する一次資料や統計をナレッジベース・都道府県統計から確認できます。