厚生労働省:外国人就労・定着支援事業(JICE が受託する研修。1 コース 100 時間・職場見学・ハローワーク訪問)
厚生労働省の委託を受けて一般財団法人日本国際協力センター(JICE)が実施する研修。身分に基づく在留資格の外国人等を主な対象に、職場でのコミュニケーション(働く場面の日本語)、日本の職場習慣・雇用慣行、労働関係法令・社会保険制度を学ぶ 1 コース 100 時間の研修に、職場見学とハローワーク訪問を組み合わせる。受講料は無料。公表されている実績は受講者数・満足度・修了後 3 か月以内の就職率(令和2〜4年度)で、能力の向上や職場定着を測定した結果は、確認した資料の範囲では見つかっていない。
公的・公開報告JICE「外国人就労・定着支援事業(研修)」(https://www.jice.org/tabunka/)と、同 FAQ・募集情報・パンフレット(2026年3月作成)・「対面型・オンラインコースのごあんない」(2026年4月作成)。厚生労働省「外国人雇用対策」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html)、「外国人就労・定着支援事業の『できることリスト』等を策定しました」(本文の日付 令和6年2月・https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23344.html)、令和5年度行政事業レビューシート 事業番号 616「外国人雇用サービスセンター等運営費」(令和4年度事業・https://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/gyousei_review_sheet/2023/2022_xls/0616.xlsx)。2026年10月9日に各資料と照合。令和5年度以降のレビューシートと実施地域の一覧は未照合。2026-10-09 更新事例は公表資料をもとに編集して掲載しています。数値・固有名詞は原文・公的資料で確認してください。
背景・文脈
厚生労働省は、身分に基づく在留資格の外国人等を対象に、日本の職場におけるコミュニケーション能力の向上と、日本の職場習慣や雇用慣行、労働関係法令、社会保険制度等に関する知識の習得を目的とする研修と、受講者に対する就労・定着支援を実施している。JICE の案内では、対象は、適法に日本国内で就労する資格を持ち日本での就労を希望する外国人と、日本国籍で外国にルーツを持つなどの理由から支援が必要な人のうち、就職への意欲が高いにもかかわらず、こうした能力や知識が不十分なため安定的な雇用に就くことが困難な未就業の人や、安定した就労への移行が見込める就業中の人など。行政事業レビューシート(令和4年度事業)は、身分に基づく在留資格を持つ人が主な対象だが、ハローワークが受講が必要と認める人は、その在留資格に限らず受講できるとしている。育成就労・技能実習・特定技能の在留資格の人が対象になるかどうかを個別に述べた記載は、確認した資料には無い。
取り組み内容
厚生労働省の委託事業として JICE が実施している(2026年度の案内で確認)。レベル 1〜3 のコースがあり、1 コースの総研修時間は 100 時間(期間は約 3 か月・標準 34 回)。就労場面でのコミュニケーション(会話・読み書き)、キャリアプランニング・就職活動(求人票・応募書類・面接)、職場での指示・説明の理解などを学び、職場見学、就労講義、ハローワーク訪問(利用方法の学習と求職登録を予定)を行う。形態は対面型とオンラインで、オンラインコースは全国から申し込める。申込はハローワークで受け付け、レベルチェックテストを経て受講の可否が決まる。受講料は無料で、会場までの交通費(オンラインは通信費と端末)は自己負担。厚生労働省は、研修の到達目標に位置づける「できることリスト」と、標準モデルカリキュラム、講師用手引きを公開している(厚生労働省の一覧ページの表記は令和3年度策定)。
うまくいったこと
研修による能力の向上や職場定着を測定した結果は、確認した資料の範囲では見つかっていない。効果があったかどうかは、このページでは判断していない。観測された値として、行政事業レビューシート(令和4年度事業。出典は「厚生労働省職業安定局調べ」)が次を示している。受講者数は令和2・3・4年度に 2,312 人・3,019 人・3,358 人。研修修了後のアンケートで「満足」「やや満足」と答えた割合は 92.4%・96.7%・97.8%。受講前に未就労だった人の修了後 3 か月以内の就職率は 25.5%・33.1%・36%。いずれも受講しなかった人との比較は無い。満足度は、能力の向上や職場定着を測ったものではない。令和5年度以降の値は確認していない。
課題・困難
行政事業レビューシート(令和4年度事業)が挙げている点: 受講者数は当初見込み(令和3年度 6,000 人・令和4年度 5,500 人)を下回り、新型コロナウイルス感染症流行以前の水準には戻っていない。委託先事業者とハローワーク等の連携を強化し、受講修了者の就職・定着支援の徹底を図るとしている。令和4年度の研修の委託(一般競争契約・総合評価)は入札者数が 1 だった。このほか JICE の案内によると、研修中の託児サービスは無い。
教訓
- 事業の特徴(効果は未確認): 働く場面の日本語、職場習慣・雇用慣行・労働関係法令の知識、就職活動の支援を 1 コース 100 時間の研修にまとめ、申込の窓口をハローワークに置いている
- 事業の特徴(効果は未確認): 「できることリスト」は、修了者が「できること」を見える化するツールで、研修の到達目標として位置づけられている
- 公表されている実績は受講者数・満足度・修了後 3 か月以内の就職率(令和2〜4年度・比較対象なし)で、能力の向上や職場定着の測定結果は確認できていない
注意点
国(厚生労働省)の委託事業である。申込は住んでいる地域のハローワークで行い、対面型の実施地域と募集時期は JICE の募集情報(https://www.jice.org/tabunka/recruit/)で確認する(募集情報は研修開始の約 1 か月前に掲載)。レベルチェックテストを経て受講の可否が決まり、申込の数によっては開講されないことがある。JLPT に向けたコースではない。受講料は無料だが、交通費(オンラインは通信費・端末)は自己負担で、託児サービスは無い。育成就労制度との関係を述べた記載は、確認した資料には無い。行政事業レビューシートの数値は令和4年度までのもので、同シートの支出額(JICE へ 542.7 百万円・令和4年度)は全国の研修事業全体の委託額である。