外国人相談体制の現状
在留外国人の増加に伴い、行政手続き・医療・教育・労働・住居など多分野の相談ニーズが拡大している。従来は自治体の各部署が個別に対応していたため、「どこに相談すればよいかわからない」という問題が繰り返し報告されてきた。
2018年12月の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を受け、出入国在留管理庁は「外国人受入環境整備交付金」を創設した。この交付金により、自治体が多言語対応の「一元的相談窓口」を設置・運営する費用が国から補助される仕組みが整えられた。2024年6月時点で全国247カ所に設置されている(出入国在留管理庁, 2024)。
国レベルでは、法務省が東京・四谷(新宿区)に「外国人在留支援センター(FRESC)」を2020年7月に開設し、在留手続き・法律相談・人権相談・就労支援を一か所で提供している。
地域国際化協会(各都道府県・政令市の国際交流団体)も外国人相談の中核機関として機能しており、自治体窓口と連携して専門相談への橋渡しを担っている。
外国人受入環境整備交付金の仕組み
外国人受入環境整備交付金は、出入国在留管理庁が所管する交付金制度である。地方公共団体が一元的相談窓口を整備・運営する費用を国が補助する。
・交付対象:相談員の人件費、通訳・翻訳費、多言語対応機器の導入費、相談員の研修費など
・交付率:設置費は必要経費の全額(上限あり)、運営費は必要経費の2分の1以内
申請にあたっては、運営計画・対応言語数・相談員配置体制・関係機関との連携体制を記載した計画書の提出が求められる。交付金は年度ごとの申請・交付であり、継続的な財源確保が自治体の運営上の課題となっている。
2024年時点で、交付金の申請額が国の予算を超過する状況が発生しており、自治体側の負担増が報告されている。
外国人支援コーディネーター
出入国在留管理庁は2024年度から「外国人支援コーディネーター」の養成・認証制度を開始した。外国人の相談に対して適切な支援機関・制度に「つなぐ」専門人材を養成する制度であり、国家資格ではなく出入国在留管理庁による認証として設計されている(出入国在留管理庁, 2024)。
養成研修は3段階で構成される。
・第1段階:約60時間のオンデマンド講義+確認テスト
・第2段階:職場での3か月間の実務実践+課題レポート
・第3段階:2日間の対面集合研修(事例検討・グループ討議)
修了認定テストに合格した者が認証を受ける。2024年度の第1期では52人が認証された。出入国在留管理庁は2026年度までに約300人の養成を目指している。
認証コーディネーターは一元的相談窓口・地域国際化協会・自治体の国際課などに配置され、相談者の状況を総合的に把握したうえで適切な支援機関につなぎ、フォローアップまで行う包括的支援を担う。
多言語対応と課題
一元的相談窓口の多言語対応は進展しているが、運用面の課題が残っている。
【対応言語の偏り】大規模自治体では10言語以上に対応する窓口があるが、中小自治体では3言語程度にとどまるケースが多い。ベトナム語・ネパール語・ミャンマー語など在留者が急増している言語への対応が追いついていない地域がある。
【専門相談の通訳確保】多言語翻訳ツールの精度向上で簡易な対応は改善されつつあるが、法律相談・在留資格相談・DV相談など専門性の高い内容では、専門通訳者の確保が引き続き必要である。
【窓口の認知度】出入国在留管理庁の「在留外国人に対する基礎調査」では、相談窓口の存在を知らないと回答した外国人が多い。SNS・コミュニティリーダー・外国人コミュニティのネットワーク等を通じた周知活動の強化が求められている。
今後の展望
相談体制は量的拡大から質的向上の段階に移行しています。外国人支援コーディネーターの配置拡大がその中核施策であり、出入国在留管理庁は養成研修の継続と認証者数の拡大を推進しています。
ICTの活用も進んでいます。AIチャットボットによる多言語の初期対応、オンライン相談窓口の開設、相談記録のデジタル管理による対応品質の分析など、技術を活用した体制補強が各地で試行されています。
2027年の育成就労制度の施行は相談体制にも影響を及ぼします。従来、技能実習生の生活支援は監理団体が担ってきましたが、転籍制度の導入により自治体の窓口を直接利用する外国人が増加します。制度移行期の相談ニーズの変化への対応が、各自治体の急務となっています。
助成金の全体像は、Guideページの「助成金・補助金クイックリファレンス」をご参照ください。